CAMPFIREやREADYFORやMakuakeのような総合系のクラウドファンディングサイトとはちがい、自社で運営するクラウドファンディングサイトには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
また、ECサイト(ショッピングサイト)にクラウドファンディングをプラスすることで、どのような効果があるのでしょうか。
そのメリットはいくつもございますので、1つ1つご説明いたしましょう。

1. イベント開催向き、顧客を飽きさせない

わくわく感の創出

人々は、ネットショッピングの便利さを知り、継続的に利用しています。
目的意識をもって訪れることもあれば、何かおもしろい、便利なものはないかな、とネットサーフィンのように閲覧することもあります。
ネットショッピングの魅力は、便利さに限らず、数量限定の商品を手に入れたという達成感や、複数店舗を比較して最安値で購入できたというような成功体験など、さまざまな幸福感を味わうことができる点にあります。

これに加えて、クラウドファンディングは困っている状態を助けたいというボランティア精神や、目標額を達成してプロジェクトが成功するかな、というわくわく感を創出してくれます。

ネットショッピングとは一味違う販売形態はイベント開催に適しており、マンネリ化したショッピングサイトの顧客を飽きさせない役割を果たしたり、しばらく来店していない休眠客への案内のきっかけにもなります。

2. リスクを少なく薄利多売にトライできる

お客様に喜んでいただけるイベントといえば、なんといっても割引セールです。スーパーマーケットにおいても「創業祭」「決算セール」などと銘打って、イベント的に大胆な安売りを仕掛けます。時には広告の品は赤字覚悟で準備します。これらのイベントが集客効果が高いから繰り返すのです。
競争の激しいネット市場においては、セールは珍しいものではありません。もっとインパクトの強い仕掛けが必要になります。それがクラウドファンディングといってもいいでしょう。

とはいっても、セールを行う時リスクが伴います。値下げのため利益率が極端に下がり、告知のための広告費も必要です。
クラウドファンディングであれば、赤字にならないラインを目標金額に設定して、達成しなければ、取引を取り消し(注文キャンセル)ということができます。

All or Nothing

クラウドファンディングには「All or Nothing型」「All In型」の2種類があります。
「All or Nothing型」は、募集期間内に目標金額を達成した場合にのみ、プロジェクト成立となります。
「All In型」は、目標金額に達していなくても、一人でも支援者が出ればプロジェクト成立となります。

大胆な価格設定は人々の興味をひき、集客に役立ちますが、同時にリスクも伴います。
薄利の商品販売の場合、このうち「All or Nothing型」を採用すれば、利益の出る申込数を得た場合のみ取引することができ、赤字を出すというリスクを避けることができます。
参加者側からみれば、なんとか成立させたいので、知人を勧誘したり、SNSで告知したりという行動につながり、集客にも一役買います。

さらに、クラウドファンディングは期間を決めて一気に売るというスタイルですので、「大量の在庫処分」「決算処分」「棚卸セール」といった余剰在庫の現金化のツールとして使えます。

3. 製品化前のテストマーケティング

テストマーケティングとは、試験販売のことです。
新商品の発売前に、クラウドファンディングという限定的なマーケットで、ユーザーに案内し、反応を見ます。反応が良ければ展開や拡大を、悪ければ規模の縮小や中止を検討できます。
リスク回避のための有効な手段として使えます。テストにかかる投資は限定的なため、損失も大きくはなりません。

テストマーケティング

また、比較販売により、売れやすいパターン・デザインを試験することも可能です。
「商品を売る」という目的以外にも、一般の反応を知り、商品開発や販売促進に役立てるために活用することが可能です。

どっちの組み合わせが売れる? どっちの写真が売れる?
テストマーケティング1
どっちのデザインが好まれる?
テストマーケティング

4. 手数料不要で、高い利益率を確保

クラウドファンディングのしくみは、下図のとおりで、プロジェクトに対して支援者がお金を支援し、支援者はそのリターンとしてモノやサービスを得る仕組みになっています。
ただ、総合系のクラウドファンディングサイトでは、この間に第三者のサイト運営会社が介在し、高い手数料が課せられます。その結果、思った以上に利益が少なかったり、それを踏まえて、安く提供できずに、集客も難しいという現象が起きています。

通常のクラウドファンディングのしくみ

購入型・寄付型クラウドファンディングの手数料比較

サイト名 起案者の手数料 支援者の手数料
CAMPFIRE 17% 220円/支援
Makuake 20% なし
Readyfor 12% または 17% なし

※手数料は決済手数料も含む

(出典)【2021年】クラウドファンディングの種類・手数料・利回りを徹底比較!

さらに、多くのプロジェクトが存在する中で、目立たせるための工夫や施策を業者に依頼し、出展するだけで多くの費用が必要になる現象さえ起っています。

そんな中、自分たちだけでクラウドファンディングサイトを運営できないかと、考える企業が多く現れ、自社クラウドファンディングサイトのニーズが高まっています。中間マージンが必要なければ、思い切った仕掛けもリスクを少なく実行可能になります。

自社クラウドファンディングサイトは集客という点で、最初は不安定かもしれませんが、既存の総合系ECサイト等の成功を呼び水として次第に自社サイトに導くようなしくみを作ることで、安定した利益率を確保できるようになります。
自社サイトに誘導するには、取引の実績を積み重ねて信用を勝ち得ることと同時に、ブランディングも重要になってきます。

5. 価格競争からの脱却 ブランディング

ブランドは高級品を指すことがありますが、マーケティングにおいては商品・サービスに対してお客様が持つ共通イメージを意味します。
ブランディングをすることで、競合他社の商品・サービスとの差別化ができ、類似品・類似サービスとの違いに価値を見出してもらうことができます。
その主な方法は、ターゲット像を明確にし、商品・サービスのロゴや名称、キャッチフレーズ、パッケージなどを通して、想定するイメージを作ることです。そのためには、自社サイトでなければ、さまざまな制約を受けて、成功させるのが難しい状況になります。

ブランディングの手法

一般の総合系サイトでは、類似品・類似サービスの比較が当たり前のように行われます。
消費者にとって、選ぶ要素は「価格」のみとなり、価格競争の餌食となります。ここから脱却するには、「このブランドがいい」と思わせるブランディングが必要となり、そのために、自社サイトでサイト全体をブランディングする必要があるのです。

6. 異なる販売方法 新たな客層の獲得

マーケティングの世界では、新規のお客様を獲得するには、既存のお客様の5倍のコストがかかるという「1:5の法則」というものがあります。
それほど新規顧客を獲得するのは普通では大変だということです。

新規顧客獲得
しかし、クラウドファンディングを実施することで、ショッピングサイト(ECサイト)には興味がないけれど、ボランティア、支援といったことには興味があるという新たな層をターゲットにすることができ、5倍のコストをかけずとも新規顧客開拓ができます。
さらに、クラウドファンディングでは、ファンマーケティングも可能です。リスクを抑えて質の高いフィードバックを得られることや、将来熱狂的なファンになりうるユーザー情報の収集といった役割も果たします。新規顧客の獲得はコストがかかるからこそ、ファン(リピーター)の創出は重要なポイントとなります。